三浦弘行九段冤罪事件について(その2)

前回記事(三浦弘行九段冤罪事件について)は思っていた以上に沢山の方に読んでいただけたようでまずその点感謝いたします。

前回記事ではこの冤罪事件における連盟の対応のまずさについて私の思うところを述べ、12月26日に行われた第三者調査委員会(但木敬一委員長)の報告後も、三浦九段に対する名誉・権利侵害は続いていることを指摘し、三浦九段の負った損害が一日でも早く回復、補償されることを願って締めとしました。

この記事を書いて20日、第三者委の報告からは既に一か月が経とうとしています。では現状はどうか。少なくとも三浦九段の負った損害の回復に向けての進捗は全くないです(もしかしたら水面下で交渉がされてるのかもしれませんが)。むしろ状況が後退していると懸念される事象が複数発生しています。

一番強調したいのは、連盟側の主張として、第三者委の報告書にあった「三浦九段の処分に妥当性がある(原文は当時の事情を考えれば止むを得ない)」を声高に主張しているところです。これは第三者委の報告書を受けた連盟の会見(12月27日)、谷川会長の辞任会見(1月18日)において繰り返し主張されています。

「三浦九段に迷惑をかけたことは済まないと思うが、自分に責任はない」。ぶっちゃけて言えばこう言っているのです。このような相手に対して原状回復の交渉がまともに進まないのは自明の理です。そもそも第三者委が処分を妥当とした意見書の判断については無理筋でありクライアントである連盟の顔を立てたものという多くの批判があります。昨日その点をしっかり指摘した記事がありましたのでご参考までに紹介しますー『第三者委は義務を果たしたか 三たび三浦九段冤罪事件について 01月20日 :コラム【 日めくり】 - 47NEWS(よんななニュース)

元々無理筋な法判断をベースに連盟が開きおなっている。こういう現状なのです。

こうやっている間に時間はどんどん過ぎてゆき原状回復はますます困難になっていきます。例えばですが「次期」竜王戦の三浦九段の対局日程が発表されました。これは裏返せば前期の竜王戦の番勝負については成立したものとし、巻き戻しはしないと宣言したのと同義です。三浦九段が悲痛な面持ちで訴えた「竜王戦のやり直し」はあっさり却下された形です。

三者委の報告が出た時、私は連盟がもう少し誠意を持って原状回復に取り組むと思っていました。しかし現状はその全く逆です。加害者側である連盟が開き直って大きな顔をしているのです。こんな非常識なことが許されてよいのでしょうか?

前回の記事で「個人的には訴訟にした方がいいと思う」という見解を述べましたが、その思いは日に日に強くなっています。連盟が処分の妥当性の法判断を楯に開き直るならその妥当性について法廷で法的に争うしかないのではないでしょうか。そうしないことにはこの問題一向に前に進まないです。

事件を法廷に持ち込めば連盟は負ける可能性が大と思います。連盟の運営が立ち行かなくなる可能性もあるでしょう。しかしそれに値する酷い対応を三浦九段に行っているのでそれも仕方ないことと思います。

三浦九段及びその弁護士さんの勇気ある決断を期待しています。