三浦弘行九段冤罪事件について(その3(その2への追記))

前回記事にコメント頂いたことについて考えを述べたいと思います。
ちょっと多方面に喧嘩を売るかもしれないのでその点ご容赦ください。

「もし三浦九段がこの件を訴訟にして日本将棋連盟が敗訴して潰れてしまっては、結局三浦九段の戻る場所がなくなってしまうのでは」というご指摘です。

先に自分の考えを纏めてしまいますと、「日本将棋連盟が潰れる可能性は相当ない」と考えています。

まず日本将棋連盟が潰れる可能性について。三点の可能性について考えてみます

(1)賠償金の支払いに耐えられず運営できなくなる
 例えば三浦九段に1億の賠償が生じたとします。これを全て連盟が払わないといけないといけないとしたら大変です。まず連盟の積み上げてきた資産は公益法人認定により税制の優遇を受けて蓄積されています。それが賠償金(自分の失態の穴埋め)に使われるのは言わば国民の資産の棄損であり、ここに手を付ければ公益認定取り消しの事案に該当することになります。
 では手詰まりか。そうではありません。一次的に連盟が全額を払うとして責任割合に応じてその求償をすればよい。例えば処分の判断はミスだったとして、その判断材料として誤った情報を提供した人、また週刊誌に情報がでるので拙速に判断を下したのが誤りの原因ということなので、週刊誌に情報をリークした人。こういう人々の責任を問うて求償すればよい。また理事会の中で暴走をした人や理事会に圧力をかけた人が居るならその人も責任を取ればいいですよね。
 このプロセスを経れば連盟自体の負担は軽減されます。これを例えば構成員の頭割りで負担すれば一人当たりはそれほどでもないでしょう。あと将棋ファンからカンパを集めるのもよい手ですね。このような状況に将棋界が陥ってもまだ信じていて連盟が存続してほしいと考えてる人は沢山います。そういう人に頼めばお金を出してくれるでしょう。
 そもそもなんですが、賠償金の支払いは訴訟がないからと言って責任を逃れられるものではないですよね。どうせ対処しなければいけない問題であるとも言えます。

(2)連盟への失望によりスポンサーが離れ棋戦が減少する
 これは正直訴訟関係ないでしょう。この状況でもabemaで新チャンネルが開設されスポンサーは増えてます。離れるスポンサーは離れる。それで養える人間(プロ棋士の数)が減れば例えば棋戦に参加できる人間を減らすとかそうやって対応するしかないでしょう

(3)公益法人認定が取り消される
 考えられる中で一番これが懸念されることですね。ただ公益法人認定の取り消しの手順としてはまず是正勧告を行いそれでも改善されない場合に取り消しという形を取るのが通例です(一発アウトは余程悪質な場合)一旦処分の不当性は法的に指摘される(理事会が不法行為を行ったことが証明される)ことになりますが、これを受けて執行部が再発防止のための改善をしっかり行えば公益法人認定の取り消しに至ることはないでしょう。ただし(1)で述べたように賠償関係は公益認定により蓄積された資産に手を付けないでやらねばなりません。

以上の考えにより、もし連盟が裁判で負けても潰れはしないだろうと思っています。たださらりと書きましたが実際にはどの点も大変な道であるのは間違いないです。しかしそれは自らの失敗によるもので仕方ないのではないでしょうか。

私の乏しい知識に基づく見解なので、色々と誤りや認識が甘い点があるかもしれません。その点はツイッターやコメントでご指摘いただければ幸いです。

(追記)私の立場は訴訟をした方がよいという立場ですが、だからと言って両者が和解できるならそれが一番ですし、三浦九段のお気持ちが一番と思いますので、もしそうならなかったとしても失望するものも何もありません。ただ日本将棋連盟が第三者委の報告を基に「処分には正当性がある」と強弁していることは許しがたく、その点が改まったと確認できるまでは将棋界は応援する気持ちになれないと考えています。