梅田望夫氏の新刊の感想

先日読了したので感想を書きます。
タイトルを読んで、所謂勝負術とかビジネス系統に役立つ本と思って買ってしまった方、ご愁傷様です。この本は将棋の好きな人にしか楽しめない本です。まあ刊行者サイドからするとこういうのも仕事の内なんでしょうね。
さて内容ですが、5章仕立てで、各章の前半は既にWEBまたは専門誌で公開済みの観戦記。私も既読でした。後半はその観戦記に1対1で付随する形で、関係するプロ棋士へのインタビューが纏められています。
さて、第四章の観戦記を読んだときに、リアルタイムで私はこういう感想をツイッターで漏らしました。(以下引用)
「例の梅田望夫氏のエッセイを読み始めたが、六行目で挫折。公に発する文章で自分の友人を「親友」って書く人間は信用できない。」2010.6.5 23:01:48
「うーん。やはり梅田望夫氏の文章は好みでない。価値のあるのは棋士が生で言ったセリフだけで、地の文章には価値を見出せない。自己顕示の好きな人の文章はどうも合わないのかもしれない。」2010.6.5 23:21:39
「自分の言葉をリツイ。でも他人の言葉の引用のセンスには脱帽。>梅田観戦記 RT @starprairie: うーん。やはり梅田望夫氏の文章は好みでない。価値のあるのは棋士が生で言ったセリフだけで、地の文章には価値を見出せない。自己顕示の好きな人の文章はどうも合わないのかもしれない。」2010.6.6 10:28:57
「硬い文章を書くなら、せめて内容は個性的なものにしろよな」ってのが自分の主義だから。なるほど、硬い文章でまっとうなことしか言ってない文章(もっちーのような)が嫌いなんだ。2010.6.8 11:06:20
(引用以上)
で結局書評を纏めようと思ったら、上記の四つのツイートでほぼ表せてるじゃないのと(笑)全体的な印象を言えば我が強くて、それでいてあんま大したことは言えない地の文章。それを補う強烈なプロ棋士の生の言葉。これで僕的にはようやく「読める」となるプラス点に傾くイメージですね。
今回追加された棋士のインタビュー編にはそれぞれ読み応えはありました。特に第三章の山崎七段の正直すぎる心情吐露(ただそれが彼独自のテレによることを指摘できていないところに筆者の分析の浅さが見て取られる)あたりは面白かったです。
ただそれ以上の価値はこの本には見出せませんでした。副題の「現代将棋と進化の物語」についてはプロ棋士きっての語り部である勝又清和六段が圧倒的に先出ていて、新規性はありません。あくまでこの本の存在価値は棋士の「生声」が聞けることでしょう。ただその「生声」も聞き手に相当のバイアスがかかっているため、驚きのようなものがないのですね。筆者の頭の中にシナリオがある。その通り喋ってくださいねという感じで。
で、題名に戻りますが、題名の問いかけの答えについて、結局全くたどり着いていません。ならば売らんがための「煽り」なのかなと解釈せざるを得ないと思います。別にそれが悪いとは言いませんけど。
結論としては将棋ファンでお金に余裕のある方なら、半分はもう読んでるものですが、「オススメ」です(宇多丸(@シネマハスラー)風)